◎玩具市場規模の概況
一般社団法人 日本玩具協会(前田道裕会長)は、会員企業および「東京おもちゃショー」出展企業の協力を得て、2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の玩具市場規模と市場動向に関する調査を今年も実施しました。
2023年度の日本国内の玩具市場規模は、前年度比107.1%と大きく伸び、上代(希望小売価格)ベースで1兆193億円と、初めて1兆円を超えました。玩具の売り上げは少子化が進む中でも2019年度以来、4年連続で伸びており、前年度に続いて過去最高を記録しました。
また、玩具の中核を占める10分野(注参照)も、2023年度は6,883億円で、前年度比108.5%と伸び、こちらも過去最高を更新しました。
さらに日本玩具協会ではこの調査とは別に、カプセル玩具の市場規模も調査していますが、2023年度のカプセル玩具の売り上げは前年度比5.0%増の640億円と市場拡大が続いています。
2023年度に玩具市場が初めて1兆円を超えた最大の要因は、前年より425億円売り上げを伸ばして、今や2,774億円市場となったカードゲーム・トレーディングカードで、市場全体の27.2%を占めるようになりました。また、プラモデルとフィギュアが好調だったホビー市場も79億円拡大して1,749億円市場になりました。 次いで金額で伸びが大きかったのはぬいぐるみで、67億円伸ばして391億円市場になりました。
2023年度の玩具市場で拡大が目立った商品ジャンルを伸び率でみると、上位は①ハイテク系トレンドトイ121.5%、②ぬいぐるみ120.7%、③カードゲーム、トレーディングカード118.1%、④のりもの玩具108.9%、⑤ホビー104.7%、という結果でした。
中分類での金額ベースの伸びの上位は①フィギュア、②ミニカー、③乗用、④幼児キャラクター、⑤立体パズルでした。
カードゲーム、ホビー、ぬいぐるみ、ミニカー、ハイテク系トレンドトイなど、2023年度に伸びが顕著だったのは、いずれもキダルト層(キッズ+アダルト=子ども心を持った大人層)までをターゲットにした商品分野、あるいはインバウンド層にも人気の商品が揃った商品分野であることが特徴になっており、それが少子化の中でも玩具が成長産業になっている大きな要因であると考えます。
(注)主要10分野とは、市場全体からベビーカー・チャイルドシート・三輪車などの乗用関連と、雑貨、ホビーを除いたものです。
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◎2023年度の商品動向
玩具市場規模が初の1兆円を超える最大の要因となったカードゲーム・トレーディングカードは、前年度比118.1%、金額で425億円伸ばして2,774億円になりました。「ポケモンカードゲーム」が前年度に続いて大きく伸長をしたことに加え、「ONE PIECEカードゲーム」や「遊戯王OCG」などのブランドもそれぞれ好調でした。
また、ハイテク系トレンドトイも前年度に続いて大きく伸ばしましたが、その要因として大きかったのが、たまごっちの新機種「Tamagotchi Uni」の発売や「Original Tamagotchi」のヒット、そして「ぷにるんず」シリーズにあります。
ホビーに関してはガンプラが引き続きプラモデル市場を牽引したほか、今回大きく伸びたのがフィギュアで、インバウンド層のお土産需要としてコレクションミニフィギュアなども人気でした。鉄道模型も好調でした。
のりもの玩具市場を牽引したのはミニカーで、「トミカ」が大きく伸びたのに加え「ホットウィール」の躍進も貢献しました。 知育・教育玩具では前年度から引き続きベビーカーやチャイルドシート、三輪車などの需要が好調だった乗用の伸びに加え、「パウ・パトロール」をはじめとした幼児キャラクターも好調でした。 キダルトとインバウンド需要の両方を取り込んだことで大きく伸ばしたぬいぐるみは、「ポケモン」や「スーパーマリオ」、「ピクミン」、「スタジオジブリ」などのキャラクターぬいぐるみが大きく牽引しました。
その他、ゲームは「ルービックキューブ」の好調と「はずるゼルダの伝説」のヒットで立体パズルが伸びたほか、アフターコロナの中で人が集まる機会が増加したことでパーティ関連や手品の需要も伸びています。 以上のように玩具市場は今回初めて1兆円の大台を超え、キダルト層やインバウンド需要なども取り込みながら、少子化の中にあっても極めて好調に推移しています。
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